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INTERVIEW

鹿乃、様々な“縁”を歌ったニューアルバム『yuanfen』をリリース!

INTERVIEW

2010年に動画共有サイトに初投稿し、2015年5月にはTVアニメ『放課後のプレアデス』のOPテーマとなった1stシングル「Stella-rium」でメジャーデビューを果たした鹿乃。自ら作詞作曲もこなし、印象的なウィスパーボイスで様々な楽曲を歌いこなす個性派シンガーだ。その歌声は海を越え、中国でも圧倒的な人気を誇っている。そんな彼女がアニソンのヒットメーカー、田中秀和氏(MONACA)をプロデューサーに迎えて作り上げた最新アルバムが『yuanfen』。中国語で“縁”という意味のあるタイトルが示す通り、様々な“縁”を描いた楽曲が収録されている。並々ならぬ思いで紡ぎ上げた作品には、どのような“縁”が詰まっているのだろうか。鹿乃自身に語ってもらった。

あらゆる“縁”で鹿乃が出来ているからこそ、“縁”というテーマでアルバムを作ろうと思いました

――鹿乃さんは日本だけでなく、中国でも非常に人気があるとうかがっております。今回リリースするニューアルバム『yuanfen』のタイトルも中国語では“縁”という意味があるそうですね。

鹿乃:そうなんです。まず、アルバムを制作するにあたって、プロデューサーの田中秀和さん(MONACA)にいろいろと相談させていただいたんですね。実は制作に入る前、もう歌うのをやめようかなって――。

――えっ! いきなり重たい話が!

鹿乃:1stシングル(「Stella-rium」)を書き下ろしていただいた方(samfree)と、すごく仲良くさせていただいていたんですが、そのシングル曲がほぼ遺作という形になってしまって……。その後、その方が生前「一緒にやろうね」って言っていたことを、私自身がかなえてしまったと感じた時期があったんですね。もちろん、それだけのために活動してきたわけではないんですが、何か急に“私はこのまま続けていても大丈夫なんだろうか”って不安になってしまって。売れることだけがすべてではないし、自分の音楽を貫くことも大事だけど、私ってそれをやれているんだろうかってガチに悩んでました。で、その方のトリビュートアルバムに参加させていただいた時点で、もう燃え尽き症候群みたいな状態になって。でも、いろいろ悩んだ結果、それでも歌いたいなっていう気持ちになったんです。自分にしか歌えない歌、自分らしい音楽ができるようになりたいなって。そこで、自分らしい歌とは何だったのかを考えたら、2ndアルバム(『アルストロメリア』)で田中秀和さんが書き下ろしてくださった「Linaria Girl」っていう曲が真っ先に浮かんで。

――田中さんは今回のアルバムもプロデュースされてますもんね。

鹿乃:そうなんです。田中秀和さんって、アニソンのヒットメーカーでもあるんですが、私にしかできない音楽をさがしてくれるのは田中さんしかいないと思って。だから、ダメもとでプロデュースのオファーをさせていただきました。そうしたら快く受けてくださって。そういう経緯も込めて、すべてが“縁”だなって思ったんです。ファンとの縁、スタッフさんとの縁、そして作曲家さんやイラストレーターさん、家族や友達に至るまで、すべてそういう方達の“縁”で鹿乃が出来ているわけで。だから“縁”というテーマでアルバムを作ろうって思いました。実は昨年11月にリリースしたシングル「光の道標」(アニメ『アズールレーン』エンディングテーマ)のカップリングで「CAFUNÉ」という曲があるんですよ。これも田中さんの曲で、ここから“縁”のテーマが始まっているんです。私は言葉で相手に理解してもらうより、歌で知ってもらえたらいいなって思いが強いんですね。それで曲のタイトルを敢えて日本語にしづらいものにしたんです。そういう流れもあって、今回のアルバムも日本語にしづらい“縁”っていう意味の言葉をさがしました。そこでたまたまたどり着いたのが中国語の“yuanfen”だったんです。

――そんなストーリーがあったんですね。でも“yuanfen”という響きはすごくいいですね。

鹿乃:ホントにこのタイトルになったのは運命的だなって感じます。

――確かに『yuanfen』の中には、いろんな“縁”を描いた曲が収録されていますね。いろんなストーリーの曲がありますが、それぞれのシチュエーションを考えるのは難しかったですか?

鹿乃:すんなりできた曲と、めちゃくちゃ苦しんだ曲があります。特にリード曲になる「午前0時の無力な神様」は、アルバム全体のイメージになる大事な曲だし、どういうストーリーにするか悩みました。悩んだ結果、ファンと自分の関係を歌詞にしたいと思ったんです。でも、なかなか表現が難しくて……。例えば、ファンから見たアーティストだったり、アーティストから見たファン……ファンから見たアーティストって神様みたいに感じるし、アーティストから見たファンも神様だし。でも、実際には神様って目に見える存在じゃないですよね。ある意味、アーティストとファンのつながりも目に見えるものではないので、ホントに奇跡の関係だと思うんです。そういう意味も込めて“神様”というワードから歌詞を作っていきました。神様って、祈ってくれる人がいないといなくなっちゃう存在でもありますしね。

――そういう発想だったんですか。でも、曲調がキャッチーなので、あまり重くならずに聴けますね。

鹿乃:そうだと思います。楽しんで聴いていただければありがたいんですが、歌詞の内容まで読み解いていただけたら、さらに嬉しいですね。

――かと思えば「罰と罰」みたいに、クールな曲もあって。言葉も多いし、淡々と歌われていて、鹿乃さんにはこういう一面もあるんだって驚きました。

鹿乃:これは“悪縁”をテーマに書いたんです。“悪縁”ってどんなものなのかを考えたら、やっぱり嫉妬とか、必要以上に相手に期待して生まれる感情なのかなって。そういう感情を題材にして書きました。

――その辺の感情については、共感する人が多いと思いますよ。

鹿乃:だといいですね。これ、いちばん最後まで苦しんだ曲なので(苦笑)。あと、「罰と罰」というタイトルには期待させ過ぎた罰と、期待し過ぎた罰っていう意味があります。

――特に言葉選びで苦労した点は?

鹿乃:私自身があまりカッカとするようなタイプの人間じゃないんですよ(苦笑)。嫉妬もするにはしても、すぐ“見て見ぬふりをしよう”って思っちゃうので、あまり感情的にならないんです。なので、そこをどう表現すればいいのか難しかったですね。

――だいたい感情に走るタイプと、ヒッソリと身を引くタイプに分かれますから。

鹿乃:私は完全に後ずさりするタイプです(苦笑)。でも楽曲の中では両方のタイプがいるんですよ。そこも含めて、地獄感みたいな濃さが出せたらいいなと思ってました(笑)。

――出てますよ! アルバムの中でも異彩を放つ曲調だし、すごく印象に残りました。

鹿乃:アレンジもカッコいいですよね。

言葉はわからなくても気持ちは伝わる。気持ちがあれば何でも伝わっていくんです

――“悪縁”もあれば、アルバム最後の「エンディングノート」のような曲にはドキッとさせられました。これは死生観を感じる楽曲ですね。

鹿乃:アルバム制作の前に、音楽をやめることを本気で考えた瞬間があったので、“鹿乃の死”を考えて作りました。“鹿乃の死”というのは、私が音楽をやめた時だと思うんです。そもそも人間って、いつ死ぬか分からないですからね。だったら、終活しとくかって(苦笑)。

――まだ早いですよ!(笑)。

鹿乃:世の中には、すでに私の曲を知ってくれている人もいると思うんですが、これから知ってくれる人もいるわけじゃないですか。たとえ私自身がいなくなってしまっても、ネットの中では曲が生き続ける……新曲は出ないにしてもね。だから、エンディングノートっていう形でみんなに遺しておきますっていう意味で書きました。

――この曲が鹿乃さん自身の「エンディングノート」だとしても、曲を聴いた人もそれぞれの人生の縮図を思い浮かべたと思いますよ。

鹿乃:この曲で何かを感じてまわりの人に優しくしようって感じてもらえたら嬉しいです!

――そう考えると、その日その日が大切に思えるような気がしますね。でも、決して緊張感ばかりの曲ばかりではなく……。「おかえり」は絶対にペットを飼っている人にはジワっとくる曲ですね。人と人との縁だけじゃなく、ワンちゃんとのご縁が描かれています。

鹿乃:動物を飼っている方はだいたい切なくなると思います。

――ペットは最終的に人より早く年を取りますしね。もしかした鹿乃さんってペットを飼っていらっしゃるのかなと思いました。

鹿乃:実家で犬を飼ってました。でも私が東京に出てきてしまったので、ワンちゃんの最期に間に合わなくて……。

――ご自身の実体験なんですね。

鹿乃:そうです。いつも私が帰ると“お帰り”って言ってくれていたと思うんです。輪廻転生を100パーセント信じているわけではないけど、めぐりめぐってまた私のところに戻ってきてくれるんじゃないかって。それぐらいワンちゃんから愛情をいただいていたので、そのワンちゃんに捧げた曲です。

――ちょっと切ない歌詞ですが、曲自体が温かいので、すごく救われますね。曲のラストで“またね”って言われるので、また出会えるのかなって。これも“縁”ですよね。

鹿乃:そうなんです。

――苦労された曲も多い中、すんなり書けた曲はありますか?

鹿乃:5曲目の「聴いて」です。ありのまま、言葉を飾らず、思ったままを書いたファンへのメッセージです。

――これもファンの“縁”ですね。

鹿乃:“縁”って、考えていなかっただけで、相当いろいろとつながっているんだなっていうのを改めて感じました。

――大きなテーマに取り組まれた今、次なるテーマも見えていますか?

鹿乃:これからまた悩むこともあると思うんですが、自分がやりたい音楽はできているので、不安にならずに自分の道を歩いていこうかなって。そういう意味でもホントにいいアルバムができたと思います。ただ、私がやりたい音楽って、受けるか受けないかでいったら、今の時代、日本では受けないかなと思っていて――。

――いやいや、そんなことはないと思いますよ!

鹿乃:あ、もちろん『yuanfen』はたくさんの人に届いてくれると信じてますけど、狙って作ったかと言うとそうではないんですね。ホントに自分がやりたい音楽をやっているんです。これまで自分の音楽は受けないんじゃないかって、ずっと悩んだ時期もあったんですが、世界に目を向けると確実に私の音楽を好きだっていう人もたくさんいてくれて。日本だけに集中して“ああ~、誰も聴いてくれないかも”っていう不安と戦っていた時、世界に目を向けたらたくさん聴いてくれる人がいることに気づいたんですね。しかも私自身、ネットの活動が中心だったのに、なぜそこに気づかなかったんだろうって。自分から視野を狭めていただけだったんですよ。

――インターネットのよさは世界中に発信できることですから!

鹿乃:そうなんですよ。しかも私は日本語で歌っているのに、海外でも“いい曲ですね”って言ってくれる人がたくさんいてくれる……それってすごいなって思います。

――言葉がわからなくてもカッコいいと思える曲はたくさんありますもんね。

鹿乃:私の音楽もそうあってもらえたらいいなって。海外の方達に自分の音楽が届いていて感じたのは、言葉はわからなくても気持ちは伝わるんだなってこと。もちろん歌詞がわからなくても楽しむこともできますし。気持ちがあれば何でも伝わっていくんだなって実感してます!

――すごい説得力ですね! これからも世界に向けて発信し続けてください!

【取材・文:海江敦士】

My recommendation spot in Japan

☆京都「柳谷観音 楊谷寺(ようこくじ)」の花手水(はなちょうず)

まだ行ったことはないんですが、メチャメチャ行きたいんですよ。季節によって手水(参拝の前に口や手を清める場所)にお花が浮いているんです。花だけでなく、秋には紅葉が浮いていたりして。いつかはぜひ訪れてみたい場所ですね。日本って四季の移り変わりがすごくきれいなので、それを感じられるのもいいなと思うところですね。ちなみに、今回のアルバム(『yuanfen』)のジャケットも四季がテーマになっているんですよ。そこにもぜひ注目していただきたいです。

ALBUM
鹿乃
『yuanfen』
テイチクエンタテインメント/インペリアルレコード
【初回限定盤】
CD+DVD
3,818円(+税)
【通常盤】
CDのみ
3,000円(+税)
2020年3月4日発売

https://kano-official.amebaownd.com/