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REVIEW

THE ORAL CIGARETTESの新作『SUCK THE WORLD』は、大きなテーマで作り上げた意欲作!

REVIEW

 2010年に奈良で結成されて以降、楽曲のよさとアグレッシヴにして華のあるライブ・パフォーマンスで、多くのファンを獲得してきたTHE ORAL CIGARETTES。
アッパーなサウンドを武器に、フェスやイベントでは場内を熱く盛り上げ、結果、ワンマン公演にも多くの観客を呼び込んできた。
バンドはすでにアリーナ規模の会場をソールドアウトさせるまでに成長し、“ライブがエモい!”“今、一番カッコいいロックバンド!”という評価を定着させている。
だが、彼らは音源に対しても並々ならぬパワーを注入してきたことにも触れておきたい。
なぜなら、アルバムをリリースするたびに楽曲のバリエーションを増やし、ポップセンスにも磨きをかけてきたからだ。
4月29日には通算5作目となるアルバム『SUCK MY WORLD』をリリースするが、次はどんな手を打ってくるのだろう……と期待しつつ音源を再生してみた。
すると、またしても大きな進化を遂げていることに驚かされた次第である。前作『Kisses and Kills』(2018年6月発売)でも、サウンドのスケール感は飛躍的に上がったが、今回はその上を行く完成度だったのだ。
 まず、1曲目の「Introduction」から我々は『SUCK THE WORLD』の世界に瞬時に引き込まれていく。
英語による女性のナレーションで、バンドが本作で掲げる重要なメッセージが語られ、冒頭から深い問題提起にハッとさせられる。
“一度過去に戻って、根源に戻る”というアルバムのテーマがダイレクトに飛び込んでくるのだ。

 もちろん、アタマでっかちになってアルバムを聴く必要はない。
2曲目の「Tonight the silence kills me with your fire」(2月にデジタル配信された)では一転、パンキッシュなロックチューンでカウンターを食らわせられるし、デジタルシングルとして配信中の「Shine Holder」や、「Don’t you Think feat.ロザリーナ」、そして人気アニメ「revisions リヴィジョンズ」のオープニングテーマとして話題となったシングル「ワガママで誤魔化さないで」などでは、キャッチーなサウンドで楽しませてくれる。ただ、それだけで終わらないのがオーラルの醍醐味なのだ。
 今回は「Fantasy」のようなファンキーなナンバーに加え、ゴスペルミュージックを盛り込んだ「Hallelujah」で新境地を切り開いている。
楽曲の振れ幅は大きいが、アルバム全体が大きなテーマで包まれているため、まるで映画のサントラのような包容力があるのも作品の特徴だ。
ライブ映えする曲も大事だが、THE ORAL CIGARETTESはどんな曲調であれ、存在感のある楽曲を作り出す術を身につけたのだと思う。聴けば聴くほど味わいを増す『SUCK MY WORLD』からは、もしかしたら生きる上での大きなヒントがもらえるかもしれない。

【取材・文:海江敦士】

ALBUM
THE ORAL CIGARETTES
『SUCK MY WORLD』
A-Sketch
【初回盤A】
CD+DVD
3,900円(+税)

【初回盤B】
CD+Blu-ray
4,900円(+税)

【通常盤】
CDのみ
3,000円(+税)

2020年4月29日発売

https://theoralcigarettes.com/