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日本が誇るコスプレ用ウィッグをクリエイトするヘアメイクアップアーティスト、 小竹珠代が語る“ウィッグの作り方”とは?

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MALICE MIZERをはじめ、多くのヴィジュアル系バンドのゴージャスなヘアメイクを担当してきた小竹珠代さん。最近ではウィッグを駆使し、2.5次元舞台のヘアメイクを担当。
多忙な日々を送っている。昨年は既存wigを使ったhow-to本『COSPLAY WIG BIBLE』(コスプレ ウィッグ バイブル)も出版し、注目を集めた。ここでは彼女がヘアメイクアーティストを目指すことになったキッカケや、仕事への姿勢など、様々なエピソードを交えて語ってもらった。

ヴィジュアル系をよく知らずに行った撮影がMALICE MIZERでした。

——まず、小竹さんがヘアメイクのお仕事を始められたキッカケから教えてください。

小竹:
もともとはファッションのお仕事に興味があったんです。で、美容師としてサロンで働いてから、パリに行ってメイクスクールに通いました。実はコレクションのメイクをやりたかったんですよ。
ちょうどスーパーモデルが人気で、ファッション界もめちゃめちゃ盛り上がっていた時期でしたからね。
それで91年に渡仏して。

——小竹さんのお仕事で印象的なのは、やはりMALICE MIZERのヘアメイクだと思います。彼らと仕事をすることになったいきさつは?

小竹:
94年に帰国してからは、雑誌のお仕事を中心にやっていたんですけど、事務所の先輩にアーティストのヘアメイクを担当している方がいたんですね。
なので、その先輩のお手伝いをしているうちに、音楽関係の仕事が入るようになって、ある日、ジャケットのデザインをしているデザイナーさんから“ヴィジュアル系バンドのヘアメイクをやってくれない?”って言われて。
それがMALICE MIZERだったんです。
正直、ヴィジュアル系って、よく知らなくて。デザイナーさんに聞いたらダブルライン(目の上に大きくラインを引くメイク)っぽいメイクをやって欲しいってことだったんですね。
実はファッションの方でも90年代前半のコレクションってダブルラインが全盛だったんですよ。
だったら私でも出来るなって思って撮影現場に行ったらMALICE MIZERで……。舞台メイクじゃん!”って焦りました(苦笑)。

——想定外だったんですね(笑)。

小竹:
当時は彼らはメジャーデビュー前で、決まったメイクさんがいなかったみたいなんです。
それで、メイクは自分達でやっていたみたいですね。
で、初めて行ったらmanaくんに「アタマを作って欲しい」って言われて。
でも、何も聞いていなかったから、まったく準備をしてなかったんですよ。
ただ、ちょっとだけふかし毛(髪にボリュームを出すために使う詰め物)が用意されてたんです。
それは「前にやってくれたヘアメイクさんが使っていた」っていう、小さいお団子みたいな感じのもので。
そこでいろいろ考えて、彼の衣装はドレスだし、夜会みたいだなって勝手に思い込んで、髪の毛を高く作り込んだんです。
その小さいお団子を使ってね(笑)。
それが正解だったかいまだに謎ですが。あと、ドラムのKamiくんのヘアメイクを担当したんですけど、彼から「眉毛がエレガント!」って言われたんです。でも、その表現がホメられているのか、けなされているのかわからなかったんですよ(苦笑)。

——普段、あまり使わないですよね、エレガントって(笑)。

小竹:
そうしたらGacktくんが来て、やっぱり「あ、いつもと眉毛が違うね。エレガントじゃん!」って。

——おそらくホメ言葉なのでは?

小竹:
エレガントという響きが衝撃的過ぎて、その時はよくわからなかったんです。結果的にはよかったのかな(苦笑)。
仕事が終わったあと、アシスタントの子は彼らの存在を知っていて、もっと早く教えてもらっていればって思いました。

——でも、逆に先入観がなかったことが、いい方向に進んだのかもしれないですね。

小竹:
私自身、全然音楽を通らずに、ファッションばかり見てきたので、グラムロックも知らなかったんです。91年から3年間パリにいたあいだは、あまり日本の情報が入ってきませんでしたからね。
ただただ、パリでは生活に追われてたんですよ。学校に行って作品を作ってっていう感じで。

 

1周回って、ホントに自分が好きなところに戻ってきた気がします。

——最近、2.5次元系のお仕事をたくさんされていますよね。MALICE MIZERからの流れ
もありますし、すごく納得してしまうんですが、ゲームやアニメのキャラクターに興味があったんですか?

小竹:
ゲーム好き、アニメ好きで、その辺をすごくチェックしている人……だと思われてますよね。
たぶん嫌いじゃないと思います。実際には、ゲームもアニメもちゃんと見る機会があまりなかったんですよ。
2.5次元ミュージカルの舞台に関わらせていただくようになったのは最近なんですけど、初めての2.5次元舞台は『ヴァンパイア騎士』っていう作品で、それを男装女子(キャストが全員女性)で演じる舞台だったんです。
AKIRAとかルウト(ファッション誌『KERA』で人気のあったモデルたち。女性でありながらボーイズファッションを着こなして人気を博した)が出ていて、そこのヘアメイクに入ったんです。
私自身はヴィジュアル系も『KERA』や『ゴスロリバイブル』のお仕事もしていたので、その関係で声をかけていただきました。

——ヴィジュアル系もそうですけど、2次元を具現化するという日本のコスプレ文化は
世界でも注目されていると思います。そのあたりはどう感じてますか?

小竹:
いちばん最初のJAPAN EXPO(毎年パリで開催されている)に、manaくんのお仕事で行ったんですよ。そこには現地のファンの子たちがたくさん来てくれました。
今もそうですが、海外の人達の方が日本の情報をすごく探してくれるんですよ。
日本ではあまりよく知られていないことでも、調べてたどり着いてくれたりして。
むしろ、海外で日本のサブカルに詳しい人は多いと思います。

——ウィッグも含め、やはり日本発信のものは人気がありますもんね。

小竹:
でも、私がMALICE MIZERをやっていた頃は、ウィッグの種類が全然なかったんです。
だから、自分で作ってました。例えば、糸を束ねたりして……。もう夜なべみたいな感じでしたね。
それで、舞台のお仕事をいただいた時に、私流のウィッグでよければ……って言ったら、プロデューサーの方も快諾してくれたんです。
ちなみに、ウィッグで私が気をつけているのは、あまり非現実的な髪型ではなく、顔とバランスのいい自然なものにすることなんですよ。

——昨年はコスプレ用のウィッグを作る方法や作品をまとめたムック本『COSPLAY WIG
BIBLE』も出版されましたよね(学校法人文化学園 文化出版局発行)。すごくわかりやすい内容で驚きました。

小竹:
文化さんって、デザインしたり、作ったりを学ぶ学校だから、ウィッグを作っているっていう部分に共感してもらえたみたいです。
この本、言うなれば“カツラのhow-to”本なんですよ。

——昨年末は2.5次元の舞台、脳内クラッシュ演劇「DRAMAtical Murder」(2019年12月2
5日〜2019年12月29日)のヘアメイクもご担当されてましたね。
今年は、3月からスタートする2.5次元ミュージカル“『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS』 THE MUSICAL”のヘアメイクも担当するそうで。

小竹:
私、FFBE(ファイナルファンタジーブレイブエクスヴィアス)の公式のコスプレのウィッグも作らせていただいたりしているし、GacktくんがFFのモデルになっていたこともあるので、結構、FFとは縁があるんですよ。
それとは関係なく、今回のお仕事をいただいたので、自分がやってきたことが役に立つなって感じました。
もともとはファッションショーが好きで、当時の舞台っぽい演出のものがやりたかったからヘアメイクの道に入ったんですが、なんか1周回ってホントに好きなところに戻ってきたような気がします。
しかも最近、ウィッグを使ったオートクチュールのファッションのお仕事のお話もいただいているんですよ。

——ホントに1周した感じですね! この先もいろいろ可能性が広がりそうなので期待
してます。今日は貴重なお話をたくさんしていただいて、ありがとうございました!

【取材・文:海江敦士】

『COSPLAY WIG BIBLE』(コスプレ ウィッグ バイブル)
小竹珠代
学校法人文化学園 文化出版局
本体:2000円(税別)
http://books.bunka.ac.jp/np/isbn/9784579116881/

公演期間・劇場
【東京】
2020年3月6日(金)〜3月15日(日)
天王洲 銀河劇場

【神戸】
2020年3月20日(金・祝)〜3月29日(日)
AiiA 2.5 Theater Kobe

原作
『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS』(株式会社スクウェア・エニックス)

脚本・演出
松崎史也

主催
ネルケプランニング/スクウェア・エニックス

https://www.nelke.co.jp/stage/ffbe_musical/
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